Monday 4 November 2013

前口上から

2011年の7月後半、僕は一泊二日で福島の友達のとこへ遊びに行きました。
 
その後、8月2日から8月18日にかけて、そのときのことをツイッターに連載?しました。
これはその時の会話を中心にまとめたものです。
 
しかし、これは基本的に僕の記憶をもとに書いていて、このとおりの会話をした、とはとても言えません。
また、そのような会話は確かにしていますが、その会話をした場所を変えるなどの"編集"を意図的におこなった部分もあります。
(それらの改変はツイッターの制限文字数に落とし込むという意味もありました)
 
何より重要なことは、これは震災から4か月後です。
まだまだ混乱が収束していない、情報が錯綜していた時期です。 
 
当然、友達と二人で震災のことと共に、原発事故に関する話をしています。
しかし、もちろん、二人とも一般人、原発についての素人です。
(もちろん、友達は原発の事故以来、福島市の住人として原発の事故と向き合い続けていたわけですが) 

これらは、そんな時期の素人どうしの会話だ。
それを念頭において読んでほしいです。
 
(これはもともとツイッターに分載したものだ、も。)

 
・・・・・・・・・
 
 
そして、その時期ははっきりしないんですが(2012年の夏頃だったと思います)。 

「今、僕は福島の原発事故についてこう思う」
 
確か(ここも不確かです)、ある方へのメールで書きました。

ちなみに不確かな理由は簡単です。
これはgmailだったと思うんですが、アクセスするパスワードを忘れちゃってアクセスできず確認できないんです(笑) 
ただ、わりとその"下書き"は残っている、と。  
 
この考えは今も変わっていないので、時期は逆になるのですが、それをまず再掲?します。
会話の方はまだ続きます。
 
あと、今回、文章の変更、追加も少しおこなっています。
そのまま、では決してありません。
 
 
・・・・・・・・・
 

僕は、原発は徐々になくなるほうにいくほうがいいな、と思っています。

ただ、「福島は危険だ」とか、そんな馬鹿な、とも思います。

もちろん、この事故の影響に対して安心しすぎるのは危険だと思います。
なにより現実に危険な場所が、それこそ、これから長い間立ち入りがむずかしい場所が現実に存在する。
それは事実です。

しかし「福島は危険だ」とか、そんな馬鹿な。
 
 
なんとなく、僕のクセとして、〇〇は〇〇、みたいなのには違和感を感じます。
当然、〇〇は〇〇な現実も世の中にはあるのでしょう。
しかし今回の事故に関しては、「正確に怖がろう」という言葉がいちばんしっくりきます。
怖がり所さえ間違えなければ、現実の福島は何の問題もなく暮らしていける環境だと思います。

 
「正確に怖がろう」 

そのためにも、正確な情報の発信と受信がとても大切になるだろうと思います。
正確な情報を発信できる専門家の方の役割がとても大切になると思います。 
もちろん素人の僕には何が正確な情報か、自力で判断することはまず無理です。
だから、専門家が出した正確な情報を、それが正確な情報であると判断できる専門家の役割もとても大切になる、そう思います。


しかし、これは結局、素人は個々人が「この人が正確な情報を出している」「この人が正確な情報を紹介している」と自分の直感で判断するしかない。そう言っているのと同じだ、と自分でも思います。
とどのつまり「この人の言うことを信用しよう」とそれぞれがそれぞれに思うことにすると。

「誰が正確なことを言っている?」 

もちろん、これは専門的な知識がない素人にとっても、長い年月が答えを出して解決することなんでしょう。
しかし問題にすべきは今。
だから今は「この人の言うことを信用しよう」とそれぞれがそれぞれに思うことにする。

で、僕が信用することにした人の意見をきき、判断した結果。
それが、"怖がり所さえまちがえなければ、現実の福島は何の問題もなく暮らしていける環境だと思います"です。


ただし、真逆の判断をする素人も多いでしょう。
 
素人にとっては、この問題は感性の問題になるのかも(笑)
 
まあ、それぞれの話を聞いていれば、もう事故から一年以上ですし、それを聞いていれば、だいたいわかりそうなもんだ、と僕は思います。
しかし、それも僕の感性かもしれません。

ただし、最近は僕と同じ感性の人の声がめだってきたかな?という気もします。
めだつ、ではなく、ふえた、なら、感性の問題ではないですね(笑)


とはいっても、一度事故がおこってしまうと、(たとえば)実際にはどれだけ安全だとしても、結局は周囲の大勢の人達が生活を壊され、多大な苦難に直面することになる。
これは絶対に避けられないでしょう。

原発というものの宿命かもしれません。

だから僕は素人考えで、原発は徐々になくなるほうにいくほうがいいな、と、思っています。

 
・・・・・・・・・


「よ、久しぶり!」
「お、ようこそ福島へ。あれ?俺が東京に住んでた頃以来だから五年ぶり?ま、車乗りなよ」
「あ、ビートルズ聴いてんの?」
「ん、やっぱりなんか聴いちゃうんだよね」
「そ、俺もちょうどビートルズ聴きながら来たんだよ」
「そうなの?何聴いてたの?」
「アルバムだとリボルバーとマジカル、あとはワイルマイギターとかドライブマイカーとかちょこちょこっと。あ、最近はグッドナイトが妙に好きでよく聴くね」
 


「ホワイトアルバムが好きなんだっけ?」
「いや別にそーいうわけでも、で、今かかってるのはサージェントと、これ青盤か?」
「うん、このへん、つうか中期ビートルズがやっぱり一番好きだね。で、福島はどこ行きたいの?」
「んーやっぱり海のほうかな?遠いの?」
「いや、そうでもないよ、山道だけど。ただその道、放射線量結構高いから。ホットスポットあるし。こう山ぞいに風が原発のほうから流れてきちゃうんだよ」
 
「やっぱり普段から放射能は気になるよね?」
 
「んーでもねー段々慣れるっつうか麻痺してきちゃうとこもあるんだよね、別に大丈夫じゃないかって。よくないんだろうけどね。でも神経質になりすぎても生活できないしさ。こんだけ放射能が漏れた。まあ、まだ止まってないけどさ、その影響なんて誰にもわかるわけないんだよね。だってこんな事故今までなかったんだからさ。結局、俺ら自身の体で今後あきらかにするしかないんだよね。つうわけで海目指すよ、ホットスポット通るけどいいんだよね?」
 
「いいよ」



「海ってよく行くの?」
「震災前はね。仙台か海か、このへんだと休みに遊びに行く場所なんて限られるしさ。でも、それからは一度も行ってない」

「知り合いとかいるよね、みんな無事だった?」
「いや、よく飯を食べに行ってたお店の人が消息不明。全くわからず。お店も自宅も海のすぐそばだったからね。新聞にさ、身元不明者の情報、服装とか、凄く細かくのってるんだ。毎日、目をこらして読んでたよ。でも、そんな人多かったよ、俺だけじゃなく。とにかく何かわかれば。でもね、あの日は寒かったんだけどね、着ていた服装とか、それこそ下着の色とかさ、細かく書いてあって、それを読むだけでかわいそうになるよ」
 
 
 
「あのさ、しつこいけどさ、俺はいいんだけど(カーナビを操作して)海に行くにはここ通るしかないんだ。(計画的避難区域と同じレベルだったかな)ここは放射能の溜まり場になってて今でも結構線量高いんだよ。あのクルっと回った円なんてあんまり関係ないからね、高いとこは高いよ、マジでいいの?」
 
「いいよ」
 
「そういえばビートルズ再結成って話あるよね」
「え!?そうなの!?最近うとくて、でもポールとリンゴでビートルズ?それもなんだかなぁ」
「じゃあもし再結成しても観たくないか?」
「むちゃ観たいよ」
「何だよ、あ、このへんだね、ホットスポットは」
「ここ?」
「うん」
「全くわかんないね」
「そりゃそうだよ、放射能目に見えないし。でもね、公表されてるホットスポットは数ヵ所だけどさ、実際は福島市内とかも含めてもっとあるよ、俺ん家とかね(笑)」
 
「何?やっぱりそれは自主的に調べてわかったの?」
「ま、俺もそうだけどさ、自分の命が危険にさらされりゃ、そりゃ誰だって真剣に調べるよね」

「このあたりに住んでる人はみんな避難されてるのかな?」
「のはずだよ、でもさ最近は避難した家を狙った空き巣がふえてるんだ。そうじゃなくてもさ、家とか土地とか財産全部を放射能に汚染されてさ、へたすりゃ全部駄目になっちゃうんだよ」
 
「除染とか・・・。」
「できればいいんだけどね」

「ん、ちょっと待って。空き巣ってさ、へたすりゃ高濃度に汚染された盗品がどこかに流出してるかもってことか?」
「物盗りは金になれば放射能は関係ないからね」
「うーん大丈夫と思いたいね。そんなに空き巣増えてるの?」
「ニュースになるくらいにはね」 
 
 
「でも、やっぱり道路工事そこここでやってるね」
 
「道路はずいぶん綺麗になったよ。震災直後はどこも酷かったけど。で、このままいくと六号線てのにぶつかるんだ。右に曲がると原発に向かうんだけどさ、その六号線てのがラインなんだ。そこを挟んで向こうとこっちで津波の被害がまったく違って、もちろん場所にもよるんだけどさ、そこ越えたり・・・。このへんに友達が住んでるんだけど、六号線のすぐこちら側にパチンコ屋があって、もちろん最初は営業なんてできなかったけど、当然再開するよね、仕事なんだから。で、再開てなったらさ、そりゃ人来るよね。六号線を挟んで、その朝店の前には行列ができててさ、こっちには普通の生活があって。なんか残酷だったって。誰がってわけじゃなく。そういう状況が」
  
 

車の残骸などがあちらこちらに点在していましたが、瓦礫などはかなり片付けられていました。
この町によく遊びに来ていた友人は車を走らせながら「自分が今どこを走っているのかわからない」といいました。
 
「あのあたりにそのお店があった」
 
海まで何もありませんでした。松でしょうか?海沿いに何本かたっているのが遠望できました。
ひしゃげた信号機を見て、少なくともあんな高さまで水が来たんだと思いました。海水浴場に行くと海は穏やかでした。

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